神話の神々についての

チャネリング.1◆

 神社などに参拝した時にやってきたメッセージとヴィジョンから、チャネリングした物語です。
どんどんヴィジョン(場面)がやって来て、解読しながら文字にしていたので、後から解ったことを加筆しています。
前書きが長いので、直接ものがたりを読みたい方は、下のもくじリンクからどうぞ…
 氷川神社でソサノヲ様に会ってから、情報が入ってきてビジョンを見せられた。
その後、九頭龍神社の弁財天からも、神々として伝えられている日本の豪族の伝説を、
魂レベルで(つまり役割として)表現することで、魂の名誉を回復してほしいと言われた。
 「古事記」では、歴史文献の改ざんでわかりにくいので「ホツマツタエ」を参考にする。
名誉回復が目的なので、文献や歴史書との解釈の違いがあるが、
聞こえてくる会話からの場面を描くことを優先した。
漫画家なので、文章力の無さはこの際ご了承いただきたい。
第一弾は、とりあえず「ソサノヲのミコト」。 悪役を演じることで、人々を学ばせる役を担った魂。
[八剣伝](2005.11〜)
ソサノヲの生い立ちシヅヒコ婚約者の死陰謀裁判で岩戸開き
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 映像のほとんどが、手力雄尊(タヂカラヲのミコト)=志津彦(シヅヒコ)のビジョンなので、ところどころ他の神様から聞いて補ってます。誰からの情報か…?で、視点がまちまちなようです。
名前などの漢字は、(Macなので)ワープロ変換できないことと、本来の名称はすべて音(カナ)ということで、カナ表記を主としています。
ちなみに古事記では:
 スサノオは太陽神(女神)アマテラスの弟で、生まれた時からの乱暴者。
姉が大目にみていたので、増長してどんどん悪さをするようになり、とうとう死人が出たので、都を追放されたことになっている。
 その後は、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)から櫛稲田(クシイナダ)姫を助け、結婚して改心。神様として祀られている。
ホツマツタエでは:
 ソサで生まれた王子ということで、ソサノヲと呼ばれる。幼名は花杵(ハナキネ)。
母、イザナミの穢れから生まれたとされ、そのために拗けたことになっている。
太陽王・天照大神(アマテルカミ(男神))の弟。アマテルの12人の后の中の2人の姫(持子・早子姉妹)に誘惑され、王位を狙おうとしたとして咎められて、追放される。
 ヤマタノオロチを退治してイナダ姫と結婚。
自分の罪を悔いて戦争に参加し手柄を立てて、八重垣の臣(ヤエガキのオミ)に戻った。
子孫は、大物主(オオモノヌシ・オオナムチ=大黒様)・事代主(コトシロヌシ=恵比須様)などの大臣になっている。
 上記の書はどちらも記録に矛盾があり、意図的な情報の制限があると感じる。
確かに、別次元では相当な悪役の「彼」も存在しているが、
このサイトでの目的はあくまでも「魂の名誉の回復」とする。
はじめに…霊的世界のチャネリングから
 宇宙では、生物は女(雌XX)が始まりだったが、地球では、男(雄XY)のDNAを使ってクローンを造ったので、「アダムとイブ」の神話が残っているのだそうだ。
太古の昔、「女性」はサイキックな力を持ち、自分の分身を生み出すことができるので、身分が高かった。
労働力(奴隷)として「男性」という人間の形体を造り出していた。
 ム−大陸かそれよりも昔、地球でも太陽神が生み出された。天照らす神(アマテラス)は女神。周りには八方角を守る8人の戦士がいた。アマテラスは宇宙の神と対話して、ものごとを進めていた。
(八方角・「八方向の戦士8人」の基本は、東西南北に陰陽2人の戦士が守り番。それが四方〜八方になったようだ)
女神アマテラスには月讀(ツキヨミ)という弟(夫?)がいた。8人の戦士を統括する将軍は、ソサノヲと呼ばれる「実行者」だった。
 代々、王は女性で巫女でなければならなかった。が、ある時、安定した時代が続いたので、女王はある実験にふたたび挑戦することを意図しはじめた。男性に政治をまかせて、魂の目覚めを向上させるというプロジェクトだった。
女性は、それまでの能力の記憶を減らし、魂の記憶の少ない男性を影から支えることになった。
 魂の記憶が多い状態で生まれてくると女性になり、記憶を減らすほど男性に近くなる。困難がある方が、この世界では楽しめるからだ。
 その後、世界の中心である地上の太陽(女性・女神)を見失って、地球は争いと略奪の世界となり、大陸が沈んだ。
その物語は一部封印され、数万年のうちにたくさんのエピソードと混ざりあって伝えられた。(歴史は次元を変えて、何種類もの結末が存在するので、今回は一番“名誉挽回”になる流れをリーディングしている)
大陸が沈んだのち、火山の島に人々が移り住み始めた。
 女性のサイキックな力は一部で残り、大地と対話し、世界中の火山の噴火をコントロールしていたが、人間の記憶からはほとんどの情報が消えていた。(その流れは、プレアデスを通じて銀河の謀略としても伝えられているが、これもあくまでも調和へのプロセスである)
 地球上で、女性の神秘性と神聖さは時々に思い出されていたが、過去の過ちの記憶から、女性は「恐ろしい存在」として封印されることが多くなった。それが紀元後と中世の魔女狩りに繋がっていた。
人類の歴史としては、女性は子どもを宿し、その子宮には胎児という物質的エネルギ−を育てつつ、魂という霊的エネルギ−を受け入れることができる身体を持っていて、
脳も(素粒子を見る)右脳と、(境界線をつける)左脳の連動が良いため、霊的神聖さが高いといえるのだが、
魔女狩りでその能力を封印されてしまったために、セルフイメージを下げ、その感情で育児をしてさらに人類全体のセルフイメージを下げている、という流れもある。
日本では、東北から龍体の日本列島を守護する女神「せおりつひめ」が封印されたという。

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[八剣伝]
◆ソサノヲの生い立ち
 古代の日本列島。
東北地方に存在していた、ム−大陸からの一族:豊受(トヨケ)神(役職名:高皇産霊尊=タカミムスビのミコト)は跡継ぎがなく、白山に住む豪族の男子イザナギを婿に迎えることになった。
イザナキとイザナミは、遠い親戚だがいとこにあたる。筑波山で結婚し、娘の昼子姫(ヒルコ姫)が生まれた。
 一度流産したのち、その子を供養するため、淡路島に流したという。
男子が欲しいということで行を積み、儀式を行い、富士山で長男:ウヒルギが生まれた。後の天照大神(アマテルカミ)である。ウヒルギは、王位を継ぐ王子として、母方の祖父である豊受(トヨケ)神のもとで養育された。
「まだ人としては未熟な両親では、王(リーダー)は育てられない」という考えであったが、当時、もともと子育ては祖父母がメインで行うという価値観があったらしい。
イザナギ・イザナミ夫婦は全国をめぐり、稲作を伝えたことになっている。
 次男:月讀尊(ツキヨミのミコト)が九州(筑紫)で生まれた後、和歌山(紀州のソサ)で第4子(三男)ハナキネが生まれた。これが後のソサノヲである。
ソサの王子だからソサノヲ。諱(イミナ=幼名)は花杵(ハナキネ)。
ハナキネという幼名から推測できるのは、子供の頃は女の子のように可愛かっただろうこと(ちなみにイケメンで有名な大和武尊=ヤマトタケのミコトの幼名が「花彦」)
 ソサノヲは乱暴者の代表のように表現されているが、そのギャップは、幼年時代のトラウマから来るものと考えられる。というのも、古事記では母イザナミは、火の神(カグツチ)を産んで死んだとか、イザナギが黄泉まで迎えに行ったのに最後に裏切ったとか言われているのだが、ホツマではソサノヲを産んだ後に浄化しようとして、炎に巻かれ亡くなっているのだ。
 ソサノヲは、イザナミが日蝕の時に孕んでしまった子供だということで、穢れの中から生まれたことになっている。そういう子供はねじけると言い伝えられていたので、イザナミは、そのことに心を痛めていたらしい。
ソサノヲがよく泣くのを、生まれのせいだと思い込み、自分の責任だと思い、火のみそぎをしようとして火に捲かれ、焼死してしまったという。
冷静に考えれば、子づくりは夫婦二人の責任なのだから、イザナミだけが責められるのは筋違いだとわかるだろう。この当時から、もうすでに高次元のメッセージは届いていなかったと証明されたことになる。でなければ、別の理由があったのを、記録に残した人々が高次元と繋がっていなかったことへの証明か…。
 本当は、子供は単純にカンの虫で泣いただけだったようだ。上に3人も兄弟がいて、長男は王様になるような子供だから当然、皆から注目をあびる。他の兄弟の手前、ハナキネ(ソサノヲ)が、お母さんにかまってもらえるのは、良いことをした時より、粗相をした時の方が多かったらしい。
さて、母の死後、残された子供のソサノヲは、どうなったか?
母のいない寂しさと、家族から注目をあびる(エネルギーをもらう)必要性から、より目立つ行動をしはじめたと考えられる。
 何しろ、兄姉はみんな年上で、姉は優しく、長男アマテルは太陽王だし、次男月讀はその兄の補佐をする大人しい性格、そんな優等生ばかりの中では、笑いを取るか何かで驚かせるかしないと、目立たない。
しかし大人から見れば、そういう「やっかいな子供」は、生まれが穢れているからだ…という理屈で処理される。
誰も、大人の対処が未熟だからだ(自分達の責任だ)とは考えなかったようだ。
 自分のせいで母が亡くなったことも、彼の心を乱させた。
愛に飢えた状態で育ったソサノヲは、一族の中でもっとも「闇」に近い存在だった。軍人として戦いに駆り出されることでも、その波動は低くなりがちだ。
 誘惑は、いつも彼のまわりにやってくる。闇を呼び込むようなところもあったらしい。彼が、闇を恐れないのは、いつも闇の中にいたから。
それは、一族の中でもっとも闇への対処に優れている才能のあらわれ、ともいえる。それが、彼の本来の役割だった。
 長男:天照大神(アマテル神)は母方の祖父:豊受(トヨケ)神の所で、「天成る道(=帝王学や宇宙の法則・儀式)」を学んでいた。月讀(ツキヨミ)も、子供の頃はよその親に養育されていて、ソサノヲが幼い頃に戻って来たのだった。
 母亡き後のソサノヲは、姉の昼子姫(ヒルコ姫=和歌姫)のもとで過ごしていた。母の代わりに姉を慕って、彼女が舞いを習えば自分も見習い、琴を習えば自分もやると言って、姉を困らせた。
特に琴の音は好きだったようだ。「琴の音はオロチを和(やわ)す」といわれ、琴の音は大蛇(オロチ)や龍をなだめる力もあるらしい。姉に誉められると喜んで手伝いもした。
 それでも、男の子らしい興味でいたずらをして叱られると、よく罰として倉庫代わりの洞窟に放り込まれた。
幼いハナキネ(ソサノヲ)は、はじめは暗闇が恐くて泣いていた。
ソ:「母上、ははうえ…。寒いよう。恐いよう…」泣き疲れて眠りつくと、夢に亡き母イザナミがあらわれた。
母:「ハナキネ、泣かないの。男の子は泣かないのよ」優しく髪をなでられ、母の暖かさを感じる。
闇の中には母がいる、母に会える。闇は彼に優しかった。彼は、闇を恐れなくなった。
 5才の時、姉が思兼尊(オモヒカネのミコト=アチヒコ)と結婚すると、とたんに寂しさを感じた。
やがて姉に長男:志津彦(シヅヒコ)が生まれる。これが後の手力雄命(タヂカラヲのミコト)である。
 ソサノヲは、甥っ子のシヅヒコを弟のように可愛がり、よく面倒を見た。
幼いものの面倒を見るという喜びとともに、姉夫婦に対する「役に立つ存在」としてのアピールもあっただろう。
 10才になると、もう姉と舞いを習うこともなくなり、年上の従兄弟であるタケミカヅチ(日速彦=ヒサヒコ=鹿島神)や母方の叔父の兵主命(ツワモノヌシのミコト=春日神の祖)にくっついて、狩りに出かけるようになっていた。
稜威雄走命(イヅのオバシリのミコト)に乗馬を習い、剣術の稽古に明け暮れた。
寂しさを紛らわせるものはたくさんあった。
 一度、ヘビ退治でヘビの巣穴を皆で探していた時、ウサギを追いかけてヘビの穴にハマったことがある。
毒蛇の巣穴があると聞いて、退治するためにみんなで巣穴を探していたが、なかなか見つからない。ソサノヲは退屈になって野ウサギを追い、森の中に走っていった。
「まったく!遊びじゃないんだぞ」とヒサヒコ(鹿島神)が怒ると、
「まだまだ、子供だな」ツワモノヌシが笑って言った。
と、その時遠くでソサノヲの悲鳴が聞こえた。
駆けつけると、大きなヘビの巣穴に落ちかけている。巣穴が見つかって、ヘビ退治は無事に終わったが、助け出されたソサノヲは、きつく叱られたのだった。
 15才になると、剣の腕前も認められ、国境の守りに出るようになる。国境付近に山賊が出るというので、タケミカヅチやツワモノヌシについて退治しに行った。
だが報告された場所には、もう山賊の姿はない。アジトを突き止めようと探したが、日が暮れてきたので野営地に戻ることになった。
 騎馬隊の最後尾にいたソサノヲは、潜んでいた山賊に不意打ちをくらい、連れ去られてしまう。
目が覚めたら、山賊のアジトだった。
まだあどけない姿が少女と間違われて襲われそうになったので、必死で抵抗した。後ろ手に縛られていた縄を、焚火に飛び込んで焼き切ると、相手の武器を奪い20人近い山賊を全滅させてしまった。
 人間を殺したのは、それが初めてだった。
ショックでその場を逃げて、川で返り血を洗い流していると、皆が探しに来ていた。放心状態のソサノヲを見て従兄弟達は叱ったが、ツワモノヌシだけが、ただならぬものを感じていた。
ツ:「確かに…この子はよく危なっかしいことをする…だが、あの時もそうだった。皆が捜せない毒蛇の巣穴を見つけたのも、山賊のアジトを見つけたのも、結果的にはいつもハナキネだ。そういう勘が利くのか…それとも…向こうが呼ぶのか…」
ツワモノヌシの不安は当たっていた。闇は闇を呼ぶ。波動が波動を呼び込むのが宇宙の法則。
それが、闇を感じ闇と戦う者、身体を張って国を守る戦士の運命でもあった。

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◆シヅヒコ(タヂカラ)について
タ:「ハナキネ様の剣さばきは美しいですね♪まるで舞いのようだ…」
突然なにを言い出すのかと思ったら、17才になったばかりの甥のシヅヒコ(志津彦=タヂカラヲのミコト)が憧れのまなざしでこっちを見ている。
 ソサノヲ22才。剣術の訓練中。兵士たちに次々と稽古をつけてやっていたところだ。
この弟分は、いつもとんでもないことを口走って、こっちをフリーズさせる。
シヅヒコは、頭脳派の父親オモヒカネ:アチヒコに似ず、身体を動かすことが好きで、母親から受け継いだのか、霊的なパワーも強かった。
ソ:「ソサノヲでいい」…せめて呼び方だけは、幼名をやめて欲しい。
 強いけれどそれだけに恐ろしい存在として語られるようになったハナキネは、皆が直にその名を口にすると言霊(コトダマ)で本人を呼んでしまいかねないので、遠回しに「ソサの雄」と呼ばれ始めていた。
そんなソサノヲに対し、シヅヒコは小さい頃から彼を慕って、まとわりついている。
「近頃、国境付近がまた騒がしい」
 白人(シラビト)が朝廷を狙っているとか噂もある。シラビトは、白山の近くに住む豪族で、ソサノヲやアマテル神の父イザナキの弟:クラキネの娘婿だった。民族が違うこともあって、どうも野心が見隠れする。白山を守る一族も、だんだんと外敵に侵食されているようだ。
争いを防ぐために、兄アマテル君は叔父:クラキネの娘(従姉妹)である持子(モチコ)姫と早子(ハヤコ)姫姉妹を12人の后の中に、妻として迎えたのだが。
 今でこそもう忘れ去られてしまったが、本来、王は女性でなくてはならない。それは女性が「巫女」として、高次元からのエネルギ−や地球の大地からのエネルギ−を、メッセージとして受け取れるからだった。
男性が王に就く時は、女性にパワーとメッセージを送ってもらわなければならない。それは、神主と巫女との関係として名残りがある。日本神話のアマテラスやヒミコが巫女で女王だったのは、そういう意味の伝承といえる。
 男性に霊的な能力があれば王(リーダー)になれるし、それを女性(巫女)がサポートする形が理想とも言えるが…巫女は、トランスに入ってメッセージを伝える無防備な時に、周囲を守ってもらう必要があった。
 女性の王(巫女)の場合は、その守護は8人の戦士が囲めばすむが、男性の王が太陽として君臨する場合は、月(付き)としての女性を12人必要とする(閏月を入れると13人)とされた。1年の満月の回数が13回だからだそうだ。
その時代、妃の数が多いのは、霊的サポートのほかに、周囲の豪族との婚姻で平和を保ち、安定した政治を行うことにも必要だったのだろう。子孫繁栄にも役立つ。
「ホツマ」の記録では、姫の数は東西南北に3人ずつ、そして中宮(正妻)を入れての13人。もうすでに女性の役割は忘れ去られていたようだが、后の数は古代のなごりだった。
 その風習が残っていて、シヅヒコはよくナンパに精を出している。
訓練場や馬場を通りかかる女の子たちに、
タ:「ねーねー、彼女、どこから来たの?」みたいな会話をしているかと思えば、「お守りちょーだい♪(←本当はハートマーク)」などと、やたらとあちこちの娘(ヒメ)から護符を作ってもらっている。
 先日も、訓練中にあくびをするのでソサノヲが叱り飛ばしたが、理由を聞いてみると、
タ:「いや〜、昨日は歌詠み会だったんですけど、そのまま酒飲み会になっちゃって…」
合コンをやってたらしい。なんて呑気なやつだ、腕立て伏せ100回を言いつけてやった。
 硬派なソサノヲは呆れていたが、シヅヒコにも言い分はあるのだった。
タ:「これは一生の問題です!どの姫を選ぶかで男の人生が決まっちゃうんですよ?よい姫を探して、力(パワー)を送ってもらわないと(守護してもらわないと)…」
 男は、女のパワーをまとって戦うのだ。古事記でもホツマでももう書かれなくなっていたが、それ以前は当たり前のことだったからあえて記録されていなかったようでもある。
タ:「アマテル様なんて(妃が)12人ですから、ソサ様も立派な姫を探して下さい。まあ、一人でもそれだけの力があるんですから、姫(女性・妻)がついたら無敵ですね」
ソ:「女に興味ないんだよな…」
タ:「それは問題発言ですよ〜」
 とはいえタヂカラは、ソサノヲが姉であり自分の母でもある昼子姫(ヒルコ姫=和歌姫)を母のように慕っているのを知っていたので、彼にも良い姫との出会いがあることを願わずにはいられなかった。
ある時、ソサノヲは御前会議で進言した。
ソ:「北の守りを強化しましょう。今は異民族を排除すべきです。シラビト、コクミの動きが怪しい」
兄王、天照大神:アマテル神は、争いごとを好まない。祖父:豊受(トヨケ=朝日神)からも、国を治めるには「和の心」が大切だと教わっていた。
天:「争いは、許さん。侵略と言われかねない」
ソ:「侵略ではありません。国境線を守らせるだけです」
そんなやりとりが何度かあった。
ソサノヲとて戦争が好きなわけではない。ひとたび戦いになれば、大事な部下を亡くすかもしれないのだ。それだけに、責任もある。
しかし同時に、境界線(国境・縄張り)を守るのも、戦士の仕事(男性性の動物的特徴)なのだ。
 隣国の様子を調べに偵察に行くことにした。
将軍たちには内緒で、親しい部下だけで作戦を立てる。「では、旅の薬売りの夫婦に変装して、村に入るというのは?女連れなら怪しまれないでしょう」
ソ:「そうだな、一人は私が行くとして、もうひとり…」
タ:「あー!行く行く、私も行きますー☆」ピクニックにでも行くようなノリで、シヅヒコが手を上げる。
ソ:「遊びじゃないんだぞ、シヅヒコ!正体がばれたら置いてくからな」
タ:「ええ〜、そんなぁー」とか言いながら、やる気は満々だ。万が一置いていかれたところで、自力で戻って来れるだけの力はあるのだ。
兵士が聞く「で、どちらが妻の役ですか?」
ソ:タ:「……」
 背の高さで決めたので、一寸低いシヅヒコが女装することになった。みんなで手分けして大きめの着物を調達してくる。
タ:「何で私が〜。顔でいったら、ぜったいソサノヲ様なのに…」
兵士A:「まあまあ、これも作戦なんだから」
タ:「…いや、ソサノヲ様の妻役はいいんだけど、女装するってのが、ちょっと…」
兵士B:「お…おまえ、こだわる所を間違えてないか?」
 シヅヒコはわりと童顔なので、なんとか見た目をごまかすことができそうだった。
ソ:「おっ、なかなかイケてるぞ、シヅヒコ」めずらしく、ソサ様がからかって来る。
タ:「あなたには言われたくないですっ」
 二人は国境の向こう、根の国の村に入って、少しずつ情報を聞き出した。
まだ武器を造りためてはいないらしい。戦の準備をしているわけではなさそうだ。戦争をするには、大量の武器がいる。つまり、剣や弓矢や馬や食糧を溜めておくか、流通させなければならない(現代なら、ミサイルや弾薬の他に燃料の確保と戦闘機・戦車・艦船などの準備、通信網と流通の整備、情報統制などが必要になる、ということ)。
ソサノヲは何か不吉な前兆を感じたのだが、気のせいだったのか…と思いはじめていた。
暗雲はむしろ、朝廷の中に立ち込めていたのだった。

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◆婚約者・ハヤスウ姫の死
 ソサノヲ23〜25才。
兄王アマテル神のもとでは、12人の后のうち、南の宮の妃:瀬織津姫(セオリツ姫=穂の子)が、特に大君に気に入られ中宮(正妻)に上げられて、代わりに閏月(13番目)を意味するウリフ姫が南の后となっていた。
本来なら、この13人の姫が、チャネリングでメッセージを受け取り(または、12人の姫のパワーを中宮の姫がまとめ)、中央(太陽)の王様に守護パワーを送るはずなのだが、もうホツマが書かれた当時には、その役割は伝承されなくなっていたようだ。
 ホツマに登場する「セオリツ姫」は、谷の桜内のミコトの娘で、その子孫にコノハナサクヤ姫がいる。のちのち祝詞(のりと)に出てくる浄化の女神となるのだが、もともとの「セオリツ」は秘め神で、竜国日本列島の気の流れを司る龍神という説がある。「秘められた、女性原理」とも言える。
 先に王子(穂日の尊=ホヒノミコト)を産んだのは、北の宮の妻:持子(モチコ)姫だった。
モチコ姫の妹:早子(ハヤコ)姫には、3人の娘が生まれていた。それが三女神(三大弁財天)の竹子姫(沖津島弁財天→馳竹生島弁財天)・タキコ姫(江ノ島弁財天)・田奈子姫(厳島弁財天)である。
 その後、中宮の瀬織津姫(セオリツ姫=穂の子)にも王子:忍穂耳尊(オシホミミのミコト=ヲシヒト=後の「箱根神」)が生まれたため、水面下で後継者争いがはじまっていた。
 持子・早子は、霊的なパワーの強い姉妹だったが、父:クラキネ(イザナキの兄)の死後、実家(根国=ネのクニ)で、ある事件が起きてしまった。
クラキネの娘の一人であるクラコ姫の婿のシラビトが、離婚して姫を返してよこしたのだ。
クラコ姫の母(サシミメ)の兄だった異民族のコクミは、戻って来た母娘を自分のものにしてしまった。義母サシミメと通じていたシラビトと妹姪と通じたコクミは、双方とも近親姦に問われたが、最終的には恩赦をうけて雲州・簸川(ヒカワ)に追放(流罪)されたのだった。
 実家での失態。そのことと、セオリツ姫の長男出産が重なり、いよいよ持子姫は世継ぎ争いから転落することになる。ホツマでは、持子・早子姉妹の中で、セオリツ姫への妬みの心がおこったことになっている。
どちらにしても、家柄の由緒正しい持子・早子姫にとって、実家の退廃は恥だったろう。
 一方、早子姫は、夫であるアマテル大君(おおきみ)より、朝廷に出入りするソサノヲのことがもとから好きだったので、姉妹はソサノヲを立てて兄王の代わりに王位につかせようと画策しはじめた。
 ソサノヲは、事件の起きた根国を整えに行っていた。その帰り道、真名井(マナイ)の朝日大神宮に詣でた時、ちょうど参拝に来ていた赤椎命(アカツチのミコト)の娘:ハヤスウ姫の美しさに一目惚する。
周囲がうるさく言って来るようになって、早く身を固めたほうがいいと思ったのもあった。
 赤椎命に娘との婚儀を申込み、承諾してもらったものの、ソサノヲには自分の宮(屋敷)がなかったため、すぐには結婚できなかった。
アカツチの住まいは筑紫(九州?)なので、ソサノヲが婿に行くわけにもいかない。かといって、今は姫を迎え入れる家がない。兄王に許可を得て、どこかにそれなりの家を建てようとしていた矢先に、異変が起きた。
 持子・早子の妬みを感じたセオリツ姫が、姉妹を筑紫の赤椎命の所に送ってしまったというのだ。これは、アマテル大神に仕えていた家臣のオモイカネ達が、宮廷を守るために姉妹を遠ざける意図だったようなのだが…かえって誤解を招き、姉妹二人はますます復讐に燃えはじめる。
 ソサノヲがハヤスウ姫のもとを訪ねると、姫が病死との知らせを受ける。
呆然となった。だが、病死ではしかたがない。
タ:「あーあ、また当分、女っ気なしだな…ソサノヲ様は…」シヅヒコの方ががっかりしていた。
 持子・早子姉妹は、筑紫を出て実家の根の国に戻ってしまっていた。
根の国(雲州・簸川=ヒカワ)には、シラビト・コクミもいる。ソサノヲは心配になり、根の国の様子をうかがいに行った。
 持子・早子姫は大歓迎で、婚約者を亡くしたばかりのソサノヲを慰めようともてなす。
そこで、ソサノヲは姉妹の恐ろしい陰謀を聞かされることになるのだった。
持:「よくいらしてくださいました、ソサノヲさま。
 軍事的にも力があり、民衆からの信奉も厚いあなた様の方が、弱気な兄君よりも王としての器がおありになるのではないですか」
ソ:「そんなことはない。大君は、日高見の国(ヒダカミのクニ=東北地方)で「天成る道(あまなるみち)」を学んだ人だ。和する心を重んじる、立派な王だ」
持:「まあ、さすがはソサノヲ様。なんという謙虚なお言葉でしょう」
早:「でも、それだけに大君から疎ましく思われるのもむりありませんわ」
ソ:「?」
早:「だって…」早子が言葉をつまらせる。「かわいそうなハナキネ様。もとはといえば、母君が天の巡りの蝕み(日蝕)を見るマサカニの中凝りに孕まれたせいで…」
持:「あら、そのお話だって、本当でしょうか…。私にはそうは思えません」
 確かに、魂の記憶を失っている時代なら、ソサノヲの生まれは本人のせいではないと考えるのが普通だ。(スピリチュアルでは、生まれてくる魂はすべて親と時期と場所を選んで、約束してくるので、自分の責任=選択なのだが)
 兄:アマテル神は、ことあるごとにソサノヲの軍人としての資質である荒々しさをとがめるが、ソサノヲはそれを自分に対する疎ましさだと思ったことはなかった。
だが姉妹は、大臣でありアマテル神のブレーンのオモヒカネ(アチヒコ)が、ソサノヲに対して警戒心を持っていることを知っていた。そして、シラビト・コクミがいまだに国境線を狙っていることも。
持:「ソサノヲ様がいなければ、朝廷はいつ攻め滅ぼされないともかぎりません」
 心配しているように見えて、兄を否定している。
暗にクーデターを起せと言っているのだ。アマテル神を欺いて、自分を天位に即かせようということらしい。
すぐにでも兄王に報告をと思ったが、いつも証拠がないと却下されてしまう。
 前回、死罪のはずのシラビトにも恩赦を与える朝廷(兄)のやりかたに、納得がいかなかったソサノヲは、もう少し謀略の全貌を明らかにすべき…と思ったのだった。
メモ】当時の武器は、青銅の「矛・鉾(ホコ)=槍」が主流で、その他に飛び道具として弓を使っていた。
剣のように、刀身の長い「鉄」はアトランティスからの遺品が主で、鉄の技術はカタカムナ文明から受け継がれていたが、特殊な伝統(秘技)とされていた。
 ム−で使われた八極の戦士の剣は、今やホツマの国(日本)に1本しか残っていなかった。
朝廷を守る「八重垣の臣(ヤエガキのオミ)」が持つべき8本の剣は、みなその1本の剣(八重垣の剣)をもとに作られたものだった。基本となった唯一の剣は、三種の神宝(ミクサのカンダカラ)の1つとしてソサノヲが受け継ぎ、後にヤマトタケのミコトが使い「草薙の剣」と呼ばれるようになる。
 剣にはほかに、大陸との交流のあった七支刀や、フツミタマなどの名前も今に残っている。

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◆陰謀に巻き込まれる
 ソサノヲが根の国に様子をうかがいに行くようになると、姉妹は彼が「王位を狙っている」との噂を意図的に流しはじめた。
兵士達は動揺したが、ソサノヲは意に介さずにいた。兄は自分を信じてくれると思っていたからだ。
将軍のツワモノヌシや経津主命(フツヌシのミコト=香取神)には、それとなく国境の不穏な空気を伝え、武器を増やすように進言もした。
 ある時、兵士の一人がシヅヒコ(タヂカラ)の所にやって来た。
兵士「タヂカラ様、あの噂は本当でしょうか?」
タ:「何を言う!ソサノヲ様にかぎって、そんなことはない」
兵士「でも…」
 兵士達の間でも例のクーデターの噂が広まり、不安が囁かれるようになっていたのだ。
兵士「どちらかを選べと言われたら、あなたはどうなさいますか?ソサノヲ様と大君(アマテル)様…」
タ:「ばか!口を慎め」シヅヒコは思わず叱咤した。
 考えたくもなかったが、近頃どうもソサノヲ様は根の国に行く回数が多い。さすがに、ちょっと心配になってきた。
タ:「ソサノヲ様に限って、朝廷を裏切るようなことはないはずだ。でも…もし…もし、そんなことを言われたらどうしよう…?どちらを選ぶか…なんて聞かれたらどうしよう?」
 恐いもの見たさでつい真剣に考えていたら、後ろからソサノヲ様の声がした。
ソ:「おまえはどっちにする?」
タ:「はい〜っ!?」心臓が飛び出るかと思った。とうとうソサ様にじかに問われるとは…!
 ふり返ると、ソサノヲ様が不思議そうにこっちを見ている。手に数珠のようなものを持っていた。
ソ:「根の国の向こうから、青石の飾りが届いたぞ。好きな方を選べ」
タ:「な…なんだー。いきなり後ろから驚かさないでくださいよ〜」
ソ:「…? おまえが驚き過ぎだ」
 ソサノヲが持っていたのは、出雲(当時は雲州のヒカワ〜細矛サホコ・千足チタル)で産出されていた「青石(アオイシ)」という緑の石の首飾りだった。勾玉(マガタマ)が入っているものと、丸い石だけのものと、選ぶようにとのことだった。
ソ:「これを朝廷に献上させればあの国も豊かになるだろうと、ツワモノヌシ様が言っていたのだ。
 おまえも、前から欲しがっていただろう?」
 そうなのだ。数カ月前にソサノヲ様が根の国から持ち帰り、首に下げているのを見た時、とてもよく似合っていると思った。それを身につけたら、彼の強さにあやかれる気がしたのだ。
タ:「ありがとうございます!ソサノヲ様!」覚えていてくれたことも嬉しかった。
 勾玉のある方を受け取って、さっそく首にかけてみる。
タ:「これをソサノヲ様だと思って大切にします!!」
 ソサノヲは心の中で苦笑した。いつも大袈裟なやつだ。まあ素直だから害はないが…とか思っていたら、よっぽど嬉しかったのだろう、満面の笑みで
タ:「毎日抱いて寝ます☆」
ソ:「…それは、しなくていい」どこまでが本気なんだか、思わず却下。
 この[青石]の勾玉は、その後「魔物が恐れる緑のマガタマ」と呼ばれることになる。
ソサノヲとタヂカラが、この首飾りをつけた姿で、オロチやハタレ(魔物・魔者)を退治しまくったからだそうだ。ハタレ達は、緑のマガタマをつけている者を見ると「ソサノヲだ〜」と思って逃げるのだそうだ。
 それで、この緑のマガタマは[魔除け]として使われるようになったらしい。
 気持ちが楽になって、シヅヒコはどうしても避けていた話題をきり出した。
タ:「兵士たちがおかしなことを言うので、叱っときました」
 できるだけ軽く言ってみたつもりだが、空気が重たい。ソサノヲ様怒ったかな…と思うと、目をあわせることもできない。
ソ:「心配するな」かすかな…しかし、とても優しい笑顔だった。
「穢れた生まれの私について来る者などいない」遠くを見つめる目が寂しげに見える。
それから力を込めて言葉を続けた。
ソ:「わたしは、兄のためにこの国のために戦うだけだ。この国の民を守るために……それだけだ」
 シヅヒコはそういうソサノヲ様が好きだと思った。この人になら、ついて行きたい。そういう部下たちは大勢いた。
それがかえってアダになってしまったのだろうか…。ソサノヲはその後、何かと乱暴な態度をとるようになっていった。
朝廷に呼ばれ、大君に諭されても聞かなかった。まるで…自分について来る者が一人もいなくなるように、そうふるまっているかのように…シヅヒコには感じられた。
 ある時、様子を見に根国に行ったソサノヲは、勧められるまま姉妹の宮に泊まることにした。
夜眠りにつくと、夢に亡き婚約者のハヤスウ姫が現れた。無念だった気持ちがよみがえり、愛しさと悲しさで黙って夢を見続けていると、彼女がだんだんと妖艶になっていく。
 怪しい香の香りが漂う。身体が重い。抵抗感がなくなり、幻覚にされるがままになっていたら、ハヤスウ姫が抱きついてきた。
あわやという所でその目の妖しい光に気づき、ソサノヲは飛び起きた。
 早子姫だった。香をたいて幻術のようなものを使い、自分を惑わそうとしている。なんということを…。
その時、ソサノヲはハヤスウ姫が早子に暗殺されたのだと悟った。

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◆裁判(神議り)
 怒りがこみ上げて来る。が、今は感情的になっている場合ではない、姉妹が兄王を狙っているのだ。シラビトやコクミとも連絡を取り合っているらしい。
ソサノヲは朝廷に戻り、兄アマテル神に直訴した。
ソ:「戦の準備を。根の国の姉妹が、あなたの命を狙っています。その証拠に、私を、私を…」
 本当のことは言えない。兄の妃が誘惑して来たなんて。
ソ:「私に、朝廷を裏切って王位に即くようにと言って来たのです」
 黙って話を聞く兄王アマテルの代わりに、口を開いたのは王の隣に控えていた大臣オモヒカネのミコト(思兼尊)だった。
思:「命を狙っているのは、そなたの方ではないのか?ソサノヲ。ここの所、たびたび根国を訪ねていることは噂になっているぞ」
 皮肉っぽい言い方は、機嫌の悪いときのアマテル神らしい言いまわしに似ている…。
ソ:「そうです。細矛・千足を調べていました。シラビト・コクミもまだ潜んでいます。国境を守るのは、私の役目ですから」
思:「そのおまえが、妃たちを誘惑したという話になっているのは、どういうことか?」
ソ:「え?」
 寝耳に水。っていうか、いつからそんな話に?
大事な婚約者を失って、もともと女性に(あまり)興味がない自分が、どうして兄の后を誘惑しなければならないのか? 
オモヒカネが、冷たい視線で言葉を継いだ。
思:「朝廷を追われて傷心の姉妹を、言葉巧みに誘惑したのではないか?天位を狙うがために」
 絶句…。やられた!あの姉妹に先を越された。何もかもが、誤解されている?!
思:「カナサキのミコト(住吉神)から、報告があったぞ。朝廷の許可を得ず、軍備を増強させたそうだな。ココトムスビ(ツワモノヌシ=春日殿)は古い武具の入れ替えだと言っていたが、謀反の準備ともとれる行為だ」
 謀反をおこす気なら、もっとこっそりやっている。ツワモノヌシ様の立場だってどうなるのだ?…そこまで誤解されてると思うと、情けなくなって来た。今までの自分の努力は一体…?
ソ:「お待ちください」ソサノヲはオモヒカネを制すると、兄王に向かって言った。
 「王よ、ずっとあなたのために…国のために戦って来たのに、生まれが穢れているというだけで私を信じず、あなたを裏切ったのに生まれが正しいというだけで、あの姉妹の話の方を信じるのですか?」
 アマテルは、黙っている。どうして否定してくれないのか。
思:「思い違いをするな、ハナキネ。お前の今までの振る舞いが、噂に実を与えているのだ」
 オモヒカネが横から口を出してきた。
自分の言動に尾ヒレがついて、悪意のウワサになっていたことは知っていた。それも兄のためと思って、耐えたのだ。失意の中、ソサノヲも負けてはいない。一矢報いて言い返す。
ソ:「私のことをおっしゃるなら、まず王ご自身の身をふり返られるべきかと思いますが?」
思:「何だと?」
ソ:「だいたい大君がしっかり后の宮をまわっていたら、不満を持つ姫は出なかったのではありませんか?調和を尊ぶべき大君が、セオリツ姫にばかり手厚くなさっていたのでは…?」
思:「口が過ぎるぞ!ハナキネ。オオキミに向かって何という無礼なもの言いを!」
天:「もういい、下がれ」
 憮然としてソサノヲが部屋を出て行く。オモヒカネは憤慨していたが、アマテルの心の中は違っていた。
天:「私に向かって本心をぶつけてくれるのは、お前だけだ。ハナキネ…」
 持子・早子姉妹がシラビト・コクミと手を組み、近隣諸国の豪族にも連合を持ちかけているらしい。
あちこちの国境線で小競り合いが続くようになった。
 ある時とうとう宿営地で、タヂカラ=シヅヒコの馬が盗まれ、皮を剥がれた無惨な姿で放り出されるという事件が起きた。
ソサノヲは怒り、その屍骸を台車に乗せて宮に運び込むと、兄王に向かって言った。
ソ:「これは、宣戦布告です!これでもあなたは戦わない気か?!」
 あまりにも無惨な光景に、朝廷の姫たちが騒然となった。ショックで、セオリツ姫の妹:花子姫が倒れてしまった。心臓発作のようだった。
実は、花子姫こそ朝廷のスパイ。根の国に出入りしてソサノヲの様子をうかがっていたのだ。持子の流した噂を真に受けて信じてしまい、朝廷に伝えたのも彼女だった。ソサノヲが自分を討ちに来たと思って、動転したのだ。
情報戦では、持子姫の方が一枚うわてだったということか。
 庭から出て行こうとするソサノヲを、ツワモノヌシが捕らえる。
騒ぎを起したことを咎めるために、諸処の大臣・将軍が集い、神議り(カンバカリ=裁判)が行われた。
ソ:「その必要はない。わたしはこの宮を出て行く」
思:「そういうわけにはいかないぞ。裁定が下るのを待ち、罰を受けよ」
 ソサノヲは、離れた部屋に一人謹慎させられた。
それぞれの神(大臣)が、意見を言う。
「もともと荒金(あらかね)の血筋の乱暴者。穢れた生まれは戻せない」
「兄の后に手を出すとは…!」
「もっと早くに追放すべきだった」
 オモヒカネ=アチヒコは思った。
息子のタヂカラはソサノヲを兄のように慕っているが、アマテル様の御代を平安に続けるには、ソサノヲは危険すぎる。民衆の信頼も厚く、戦士としても有能で、欲がない。民衆のために命をかけることができるだけ、兄よりも勇敢で頼もしい。もし「天成る道」を学んでいたら、とうぜん王になっていたのは弟の方だろう。だからこそ、生まれのせいにしてでも、朝廷に従わせる必要がある。それができなければ…。
 オモヒカネの考え方は間違っていた。ソサノヲがこの立場でいられるのは、もともと兄王アマテルの存在があってのこと。それをソサノヲ自身も知っていたし、兄のアマテルも理解していた。だから、本来謀反などはありえなかった。二人が対話を続けていれば、誤解も解けたはずだった。
 ただ、妃たちが周囲の民族に利用されてしまったという事実はあった。それを俗世間の欲望に置き換えたのは、すでに俗欲の波動にまみれた側近の立場だったから、ともいえる。…そして、それも魂の学びなのだった。
 ソサノヲは、優秀な弟という立場の他に、異民族・異種族(むしろ本家)の子孫だったという説もありますが、ここでは、ホツマを主体にした波動のチャネリングで書いていますので、ご了承ください。
 諸々の罪によって、ソサノヲは死刑に値するということになった。(ホツマでは)髪を抜かれ、爪を抜かれて殺されるのだ。
だが、アマテル神はソサノヲの死刑に反対した。

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◆タヂカラの岩戸開き
タ:
「父上、大変です。アマテル様がお隠れになりました!」
 オモヒカネが大君に裁定を伝え、奥の宮から戻って来ると、アマテル神の警護にあたっていたタヂカラ=シヅヒコが追いかけて来た。
思:「そんな…まさか」オモヒカネが慌てて戻る。アマテル神は、奥の間に閉じこもってしまっていた。
天:「死刑はならん」 
思:「しかし…皆の裁定です」
天:「退位をかけてでも、ソサノヲの死刑は認められない」
思:「なぜですか?王の弟君だからというだけでは、民衆にしめしがつきません」
天:「あの悪行はわざとだということが、わかっているからだ。昔からあの子が人を困らせる時には、必ず理由があった」
思:「それは、穢れた生まれの子はねじけるという、よい見本ではないですか!」
天:「それだけなら、なぜ我が一族に生まれる必要がある?」
 オモイカネには解らなかった。このままでは、らちが開かない。さっさと死刑にしてしまえば、大君も認めざるを得ないだろう。
 この時、アマテル神が、ソサノヲを恐れて隠れたという説もある。
古事記やホツマの記録にはないが、その時期には月食が起こったようである。暦の計算をすると、記録に合わないので削除されたようだが、月が煌々と照りかえり、その後闇夜がもっと暗くなったらしい。
 日蝕や月蝕の時は、「松明をかかげて明りをとり、波動を上げるために明るく賑やかにしてやり過ごす」ことになっていた。魔(不安から来る低い波動)を寄せつけないためだ。
ム−の時代からの儀式だったが、それとアマテルの時代の記録が混ざったらしい。古事記やホツマでは、アマテル神を呼び出すために、アメノウズメのミコトが妖艶な踊りを踊ったことになっているが、本来は巫女がトランスに入って神憑かりになると、衣装も乱れるという意味で、その儀式は別な時(冬至や日食などの時)だったようだ。
 騒ぎが聞こえ、ソサノヲは部屋から出て、兄のもとに迫った。制止する衛兵をものともせずに部屋に入ると、閉じた扉に向かって叫ぶ。
ソ:「なぜ、私を死刑にしない!何を怖じ気付いている!兄弟殺しが恐いのか?」
天:「バカなことを言うな。おまえはそんな人間ではないはずだ」
ソ:「罰すればいいだろう?私を。一族の穢れとして、死刑にすればいい」
 めずらしく感情的になっていた。
認めてもらえないことには慣れている。何をやっても評価されなかった。今さら周囲に誤解されたからといって、異義をとなえる気にもならない。
天:「おまえはそのために…そのためだけに生まれて来たと言うのか?」
 兄の苦しそうな声が聞こえる。
自分が犠牲になることで、体制が保たれるなら、それもいたしかたない。
ソ:「私には闇しか見えない。結局そういう人間なのだ。それが私の生まれて来た意味だ。そのために母は私を産んだのだ!」
天:「母君を汚すな! おまえの生まれた意味は、そんなことではないはずだ」
ソ:「生まれて来なければ…こんなに苦しまずにすんだのに…あの時…母と火に捲かれて死んでいれば…」
 扉を挟み、二人は泣き崩れていた。
騒ぎを聞きつけて駆けつけた衛兵たちに、部屋に連れ戻され、ソサノヲはまた一人裁定を待つ身となった。
ソ:「わたしの責任だ。持子・早子を討たねば…」
 その時、仮死状態で亡くなったと思われていた花子姫が、ウケノミタマ神のヒーリングで意識を取り戻したという知らせが入る。セオリツ姫が、その喜びに恩赦を与えることを伝えて来たので、再審議することになった。
思:「ソサノヲに、再審議を行うと伝えよ」
 これで死刑はまぬがれた。ソサノヲの身を案じていたシヅヒコは、ひとまず安堵。様子を見に部屋をたずねる。
…が、ソサノヲ様の姿がない!
今度はソサ様か〜と思って、とにかく彼の宮(ふだん住んでいる棟)に探しに行ったが、そこにも彼の姿はなかった。
 部屋には、ソサノヲが着ていたはずの官職の服がきれいにたたまれ、その上に彼の剣、そして…いつも編んで1つに束ねている彼の長い髪が残されていた。
タ:「ソサノヲ様…?!」
 一瞬、何が起こったのか理解できず、頭の中が真っ白になった。いそいで厩(うまや)に行くと、彼の馬は残されたままだ。
とにかく大君に報告しなければ! 踵を返して、アマテル神のもとに走り戻った。
タ:「ソサノヲ様が宮を去りました!!何もかも…剣も服も馬も置いて…行ってしまわれました!」
天:「なに!?」
 勢い扉を開けて、アマテル神が姿をあらわす。
タ:「何もかも置いて…何も持たずに…」半泣き状態のシヅヒコは、がっくりとひざを落とした。
手にはソサノヲの残した髪束を握りしめている。それを見て、アマテル神も呆然と立ち尽くす。
オモヒカネもやって来た。
天:「…タヂカラ」
 沈黙を破り、アマテル神が口を開いた。
天:「罪人ソサノヲを追い、討ち取れ!」
タ:「えっ?」
天:「その命(めい)を果たさぬうちは、戻ること許さぬ」
タ:「そ…そんな」
 あとずさりするシヅヒコを、アマテルが正面から見据えて言う。
天:「これは、勅命である!」
タ:「!!」
 シヅヒコは動揺した。大君の命令…しかもその内容が…。父オモヒカネも、その命の重さに困惑したようだ。
天:「タヂカラ、支度をしろ。必要なものは、武器・馬(こま)・何でも好きに選んでよいぞ。
 オモヒカネ、息子の望みのままに与えるがよい」
思:タ:「はっ」礼をして部屋をあとにしたが、まだ動揺はつづく。
タ:「そんな…わたしがソサ様を討てるわけないじゃないか。叔父上であり、兄とすら思うあの人を。だいいち、戦ったってかなわない…」
 大君の命令に戸惑い、うなだれて厩にまわる。とにかく、考える時間が必要だ。ため息が出てきた。
「わたしの駒(馬)は、シラビトに剥かれてしまったし…」
タ:「今、空いている鞍はあるか?」
厩番:「いえ、ここには…。あ…ただ、ソサノヲ様の黒馬が…」紫がかった黒毛の馬が、厩に残されていた。
タ:「紫輝(シキ)…」
 ソサノヲ様は徒歩で宮を出たのだろう。愛馬のシキまで…朝廷から受けたものはすべて捨てて行った、ということか。 
その時、シヅヒコはアマテル神の言葉を思い出した。
天:「必要なものは、なんでも好きに選べ。望みのままに与える…」
 そういうことか!大君の真意を汲みとったシヅヒコは、元気を取り戻して準備を始めた。
兄弟そろって、凄まじい覚悟をしたものだ。
タ:「アマテル様、ソサノヲ様のあとを追い、見届けます!」
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